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グリモワール (仏: grimoire グリモワまたはグリモアとも)

グリモワール (仏: grimoire グリモワまたはグリモアとも) とは、フランス語で呪文集を意味し、特にヨーロッパで流布した魔術書を指す。奥義書、魔導書、魔法書(おうぎしょ、まどうしょ、まほうしょ、Grammar book)ともいう。
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狭義では悪魔や精霊、天使などを呼び出して、願い事を叶えさせる手順、そのために必要な魔法円や護符などのデザインが記された書物を指すが、魔術や呪術、神秘学などに関する知識、奥義を記した古文書、書物全般のことを指す場合もある。

『ソロモンの鍵』『ソロモンの小さな鍵』『黒い雌鳥』『ピラミッドの哲人』などが有名で、特に『黒い雌鳥』は、「エロイムエッサイム 我は求め訴えたり Eloim Essaim frugativi et appelavi」という呪文が「悪魔くん」や『魔界転生』などの作品に取り入れられるなど、日本でも有名。また、聖書の外典・偽典の中にはグリモワールとされる書物(『エノク書』など)も存在する。
しばしば「グリモワールは中世のヨーロッパで書かれた」と言われるが、必ずしもそうではない。13世紀前半にはパリの司教、ギヨーム・ドーヴェルニュが、1267年頃にはロジャー・ベーコンがこうした書物に言及しており、中世後期の12-13世紀ごろにはグリモワールの存在が知られていたことが判る[1]。しかし現存する写本の多くは17世紀以降のもので、中世に書かれたものは例外的である。たとえば『レメゲトン』の現存する最古の版は17世紀初頭のものである[2]。現存するグリモワールの中には、中世を起源とする書物の近世における異本と考えられるものもあるが、権威付けのために「中世、あるいは古代に記された原典を現代語訳したもの」と自称している「近世の産物」も多いと考えてよい。

中世後期からルネサンス期には、こうした書物は主として聖職者や学者、学生など、ラテン語の読み書きができる多少なりとも教養のある人々に読まれ、写本の形で流布していた。これらの書物に記された儀礼魔術は、悪霊と交渉するダイモーン魔術や死者の霊を呼び出すネクロマンシーであり、こうした術はトマス・アクイナスなどの神学者によって非難されていたが、一部の司祭はひそかに魔術を行っていた。たとえば12世紀のヘンリー2世の頃の学僧、ソールズベリーのジョンは、少年時代に鏡を使った魔術を行う神父に霊視者の役をさせられたという[3]。また、冬の間だけ大学で学び、夏は流浪し、農民に魔術の力を吹聴してイカサマを働く貧乏放浪学生もいた[4]。『隠秘哲学』を著し、自然魔術や神聖魔術を論じた、ネッテスハイムのハインリヒ・コルネリウス・アグリッパは、こうしたダイモーン魔術とは一線を画した態度を取っていたが、彼は黒い犬の姿をした悪霊を連れていたと噂され、アグリッパの『隠秘哲学』の第四書と称するグリモワールが出回った。アグリッパの弟子であった医師ヨーハン・ヴァイヤーはこれを偽書と看破した。

近代には一般民衆の識字率が上がり、種々のまじないを寄せ集めた通俗的な魔術本が出版されるようになった。フランスでは行商人によって「青本」という民衆本が売りさばかれたが、その中には通俗的な魔術書の類も多かった[5]。ドイツでは18世紀に一般民衆を対象とした「家父長のための書物」と呼ばれる実用書の出版が盛んになったが、その一環として魔術書も出回るようになった[6]。

主なグリモワール
『ソロモンの鍵』(Clavis Salomonis)
『ソロモンの大いなる鍵』(The Greater Key of Solomon):上記『ソロモンの鍵』のマグレガー・マサースによる編集版
『レメゲトン』(Lemegeton)、別名『ソロモンの小鍵』(Clavicula Salomonis)
『ゴエティア』(Goetia):『レメゲトン』の第一書
『アルマデル』(Almadel):ソロモンの鍵の異本のひとつ
以上、偽ソロモン文書群(Solomonic literature)
『大奥義書』(Grand Grimoire)
『グリモリウム・ウェルム』(Grimorium Verum)
『秘中の秘』(Secret of Secrets)
『ホノリウスの書』(Grimoire of Honorius)
『黒い雌鳥』(The Black Pullet)
『ピラミッドの哲人』(The Sage of the Pyramids)
『アルバテル』(Arbatel)[1]
ヨーハン・ヴァイヤーの『悪魔の偽王国』
偽アグリッパの『隠秘哲学第四書』(Fourth Book of Occult Philosophy)
『ヘプタメロン』(Heptameron)
『アルマデル奥義書』(The Grimoire of Armadel):マグレガー・マサースがパリのアルスナル図書館で発掘・英訳したもの
『ギリシア語魔術パピルス』(PGM)および『コプト語魔術パピルス』(PCM):近代に発見された古代後期のエジプトの魔術文書群
Galdrabok:中世アイスランドの魔術書

アラビア伝来のもの
『エメラルド・タブレット』(Tabula Smaragdina)
『ピカトリクス』(Picatrix)[2]

旧約偽典とユダヤ起源のグリモワール
『ソロモンの遺訓』(Testament of Solomon)
『モーセ第六・第七の書』(Sixth and Seventh Books of Moses)
『ラジエルの書(アダムの書)』(The Book of Raziel)
『天使ラジエルの書』(Sefer Raziel HaMalakh)
『アブラメリンの書』(The Book of Abramelin)

架空または未確認のグリモワール
『ネクロノミコン』(Necronomicon):ラブクラフトの小説に登場
『ドジアンの書』(The Book of Dzyan):ブラヴァツキー夫人が言及

現代のグリモワール
『影の書』(The Book of Shadows):ウイッカの秘伝書
フランツ・バルドンの『喚起魔術の実践』(Bardon, Franz; The Practice of Magical Evocation)
レイ・シャーウィン『結果の書』(Sherwin, Ray; The Book of Results)
アントン・ラヴェイの『サタニック儀式』(LaVey, Anton Szandor; The Satanic Rituals)
ロバート・ターナーによる「ネクロノミコン断章」(ジョージ・ヘイ編『魔道書ネクロノミコン』[7]所収)
サイモンによる『ネクロノミコン』(Simon, Necronomicon)

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2009年02月19日 14:36に投稿されたエントリーのページです。

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